先日のNHKの特番は、ちょっと・・・。
良かった点は、ご本人から直接言葉を聞けたこと。叡王戦の頃の『不調』『失冠』をことのほか騒ぎ立てたメディアには辟易していました。
どうかな・・と感じたのは『 AI 』云々のタイトルと内容。
まず、最初は「八冠陥落」というタイトルに呆れました。
陥落って何ですか?!
七冠を堅持し、タイトル通算24期、永世2冠の竜王名人は『絶対王者』ですよ!!
・・・と憤慨したファンが多かったようで、NHKには相当抗議がいったのでしょう、すぐにサブタイトルからはその文字が消えました。
未だ初級者でも、見る将歴6,7年の私からすれば、ちょっとピントがずれた内容で、しかも番組制作時と今が相当状況が乖離しています。
確かに、叡王戦のころは恐らく不調ではあったことでしょう。多分に、将棋界を代表する存在としても、100周年記念行事関連もあって、各地に呼ばれ、各種の対談をし、本当に忙しかったと思います。また、最長の持ち時間の名人戦と、短い叡王戦を並行して行い、体力的にもきつかったことでしょう。
それでも、最後は2勝2敗までもちこんでの敗戦ですから、よく頑張ったと言えるでしょう。
それらは全て「いえ、全て自分の問題です」と言いきれる竜王名人の強さには感服しました。決して言い訳をしないのです。
多分、後手番の対策を試行錯誤の最中で、短期的な勝利より、長い目で見た指してだったのだと思います。いわば、フォームの改善中。(おそらく、今結果が出ていない、豊島九段も同じ状況と思われます。きっと、大飛躍をすると思います!)
で、凄いのは、あの番組が取り上げた対局の後の数局で、藤井竜王名人はまた調子を取り戻し(?)強い強い将棋が復活しているのです。
王位戦の最終局は圧勝でしたし、番組で取り上げていた負けた対局の戦法を、今度は王座戦のしかも後手番で採用して、見事に完勝しました。
手応えを感じているのではないでしょうか。
逆に、叡王のタイトルを取った伊藤さんは、その後調子を崩しています。残念ながら、今期の他のタイトル戦は全て敗退してしまったので、今期の2冠以上の可能性は無くなりました。タイトル戦は来期の叡王戦防衛からです。
(一般棋戦は残っているものがあります。)
叡王は、藤井叡王が奪取・防衛するまで、毎期叡王が変わるという、防衛しにくいタイトルでした。それは短い持ち時間とチェスクロック制という事情があるからです。
また八冠に返り咲く日も来ると思いますが、来期ではないかもしれません。
それよりも、ずっと遠くを見つめて高みを目指していく藤井竜王名人。
誰かの負けを祈ったりすることもなく(神社仏閣でも自分の勝利は祈りません)、本当の意味で「孤高」の棋士と思います。
永世2冠がどれくらい凄いことかも、みなさん感覚が麻痺していると思います(笑)。 やっぱり強い、魅力あふれる棋譜を残していく竜王名人をずっと応援していきます!
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